工業製品に使用されているゴム、ウレタン系部品の代替材として熱回り部位だけでなく耐寒性を持ち、温度変化による防振特性の変化がない部品として評価されています。
金属製防振材にはコイルバネ(押しバネ、引きバネ)、板バネ、特殊バネなど多数あります。
実はニットメッシュ加工品を防振財として使う場合、現在量産中のブロックは全てコイルバネの押しバネに属し、小さな押しバネの集合体が一体化してブロックになっているバネと言えます。
国内では自動車部品加工関連の一部組み付けメーカーがデミスター業界(米国などのフィルター業界)でしかなじみのない加工技術ですが近い将来用と開発が進めば他分野の”ものづくり”に重要な機械要素技術となると思っています。
そこで、ニットメッシュ加工品を防振ブロックとして使う場合に、
他の防振ブロックの防振特性と何処がどのように違うのか?
そもそも開発者はなにを意図して開発したのか?
開発は完成しているのか?
何を持って完成したといえるのか?
にお答えしなければなりません。
当然、この加工品の構造(ブロックですから特に内部構造)と、荷重(この場合は=3次元ベクトル複雑振動)がかかった場合の動的解析に言及いたします。後で、開発案件のひとつとして、フィルターの新しい加工法も提案します。
これらの技術情報を詳細に開示するに当たり、その情報源は、ニットメッシュ加工専業メーカーとして積み上げた二十年来のデーターベースと、開業のきっかけとなった開発者の(私にとっては)非常に魅力的なレポートによるものです。開発者に敬意を表して言うなら、筆者の営業した25年間は、技術的には何の展開もなく、銭に目がくらんでレポートの後追い確認に終始したと自戒しています。言わば、加工現場からの報告であります。
同時に、B to Bの取引を期待して幅広くご理解を得られるよう平易な表現を心がけています。なお、使われている用語は、業界用語であり、厳密な物性物質の諸定義にそぐわない点はご容赦ください。
現在の採算、将来の採算および将来展望、当社の対応策について、率直に述べます。
技術資料の項を飛ばしてでも、事業の生産環境と事業展望にお進みください。
因みに、当社は現状の取引にいかなる激変があっても撤退いたしません。業態は変えますが冷静に対応いたします。それだけ有望な展望が望める分野だと思っています。
ただ、いまの国内外各社の製造設備、工程設計は似たり寄ったり、そこから検討し直さないと、規模の大小に関わらず将来の国内での生産環境は非常に厳しくなると予想されます。端的にいえば”今の作り方では国内で生産しても儲からないよ””外国へ持っていってもだめだよ”という事です。理由は、内部構造、加工法、の概略をご理解ください。
技術史を述べるほど知見はありません。あくまで加工技術屋が調べた資料に基ずく記述です。正確な沿革をご存知の方教えてください。
私が資料を手にしたのが、三十年前、その十年ほど前、とすると今から40年ほど前、ヨーロッパのある研究所で開発されました。
研究者の意図は、金属線で弾性体を作り金属弾性ブロックを作る事です。目的は、一つの防振ブロックで、横力振動を含む3Dベクトル複雑振動を防振するブロックを作りたかったようです。金属線材で編み加工が出来たから積み上げてブロック化しようとした訳ではありません。
最初は(誰でも考え付くように)細かいギヤーを組み合わせて小さなサインカーブ(2Dor3D)を作り、グルグル巻きにして、金型にいれ、プレスしたら、ほとんどくっ付かなかった。理由は金型内壁に押されたサインカーブはすべて2Dカーブになり内壁に平行に並んでくっ付かない。内部では、たまにくっ付いても、密度がバラバラで、すぐバラけてしまう失敗を繰り返して後、内部の隣り合った線材を2つの系と考え、その2つが任意の距離ではなく、一定の距離を保つ構造にしなければならないとの結論に至り、シングル編み(weft knitting)のループ構造を利用する事を思いつきました。編地を積層し、隣り合った層を圧縮過程で架橋することに成功したのは幾多の失敗を伴って完成したようです。
即ち、ニットメッシュ加工技術はその時点で完成したわけで、その後の沢山の特許申請は何の意味もないと私は思っています。
30年前資料の確認追試は全部やりましたが、その報告は長くなりますので省略。
視点を変えてニットメッシュを離れ小さなバネ(弾性体)がいっぱい詰まったブロックを想定します。
ゴムマリの袋に乗っかってもバネにはならない。降りれば元の高さには戻らない。バネになるには元の位置に戻る力が必要です。
単純に、上から一定の荷重がかかっている場合、その荷重を受け止める密着した小バネの一群は、荷重を受け止める力(抗力)が荷重より小さいから、変形します。その下が固ければバネは潰れます。その下のバネの第2群がスクラムを組んで逃げないように荷重を受け止め変形すれば、合計した抗力は少し大きくなります。同様に小バネの層が、積層を重ねれば、荷重が抗力と同じになるまで、即ち応力に等しくなった位置で止まります。
ここで、疑問がでるのは、ある層と次の層とは、同じ数の小バネで構成されているとイメージしていて、それがある一定の距離を保ちながら同時に変形するんだから、逃げないように変形と言っても、上の層の小バネの真下に次の層の小バネが配置された場合と、上の小バネの各々の間に下のバネが配置された場合、またそれらが混ざった層が混在した場合など荷重でも沈み量が異なり、量産品のバネ特性のばらつきは使用を満たせなくなるのではないか、いわんや3Dからの荷重(振動)にも同様のバネ特性を得るなど有り得ないのではないかと反論があるはずです。ごもっともであります。それは独立した小バネを上述のバネ条件(下線部)を満たすように配置、固定しても正常なバネにはならない事を意味します。
当社では遅滞なく、数十年安定した量産を継続してきました。その理由は、製品の内部構造と挙動解析の、ロットごとの推定測定値を得る手法を確立したためです。何故推定なのか?ブロックは内部構造を直接見ることができません。
内科医のお医者さんが体の外部に現れる異常を知ることで体内部の以上を論理的に推定する医術を持っているからこそ、適切で有効な処置を指示することが出来るのです。
ブロックである工業製品は過去に得られた知見に基き内部構造の正常ー異常を示す指標を計測して判別する技術を持たなければなりません。寸法、重量が合格だからOKではなく、その部品が自動車に搭載されて(設計通り=)仕様どおりの機能を維持し続けることに責任を持つ事を要求しているのが、PL法の趣旨であります。焼結金属、鋳物、プラスチックブロックなど全てこの範疇に入ります。
ニットメッシュ加工で深刻な異常は内部剥離です。内部剥離の深刻な理由は
受け入れ側のメーカーさんを含め、使用、規格の適切化を検討すべき時が来ていると、実感しています。何も計測器を充実する必要はないでしょう。良否を識別する指標を規格化すれば良いんじゃないですか。内部剥離の原因は次の項で述べます。
前項で、ニットメッシュ加工品が防振ブロックになるための条件について述べましたが、それらを金属線の編地(knitting cloth)で実現するためには、まず編地の特徴(物理的特性)を知らなければなりません。
実際の編地写真を見ると金属線が完全に塑性変形している様に見えますが、図解のようにニードルループは、結節点で上のループを背後から押しています。同様にシンカーループは、結節部で隣り合った下のウェール(wale)の隣り合ったニードルループ片方ずつを背後から押しています。円筒状に編まれた編地が安定した形状を保つのは、残留応力がバランスしているからと言えます。
今ここで、ニードルループ+シンカーループの繋がり(wale,weft loop)に注目しましょう。
Weft loopは丸編み(circular knitting)では、螺旋型に編み目を構成しています。それが積層してバネを構成するとはどうゆうことか?後工程を見れば分かります。
編地を加工してプレス前の粗成形品を得る工程を図示しましょう。
どの粗成形加工でも、層と層は曲面で積層しています。編地のまま粗成形しても、層と層はくっつきません。積層した編地の上下を架橋して一体化しないと弾性体は完成しません。その架橋技術が波付け工程です。デミスター製品で、大きなサインカーブの45度の波付けをしたニットメッシュ装着品がありますが、二重にしてもくっつきません。逆に編み目より細かいリップルをつけてもくっつかないでしょう。そこで一体化架橋のプロセスを述べます。この手法は、40年前開発者が完成させたものです。特許は無しですよ!!
ニットメッシュの沿革に記載したとおり、線材でバネを作る条件(必須条件)の一つは二つの系が一定の距離を保ちうることとありますが、そこで、編地を構成するweft loop(ニードルループ+シンカーループ)の連なりを見てください。両ループ間の距離は一定の距離を保っています。この両ループをバネとして利用すれば、圧縮しても一定の距離以内を保持します。
ループに平行な圧縮が起こっても重なることはありません。コース方向(ニードルループの連なりの方向)はどうでしょう。丸編みシングルニットの特性としてコース方向からの圧縮でランダムに重なります。
そこで、重ならない状態で、コルゲーターで編地に45度のサインカーブの波をつける。波をつける目的は、変形したループが圧縮によって、本来の編地の平面(または曲面)から飛び出て、積層された上下を架橋する為である。Weft knittingの場合、隣り合った任意のknitting loopの中心線の幅とサインカーブ45度の交点が一致した場合には、ニードルループの変形は同じになってしまう。即ちニードルループの繋がりの全てが同じ変形を起こす。シンカーループは変形の仕方は違うが、コース方向の繋がり全体が同じ変形を起こす。それを圧縮した場合、任意のループは上下を架橋する場合もあるし、架橋しない場合もある。このケースが最も架橋数が少ない。架橋が連続して失敗した部位がワークに出来れば、それが内部剥離となる。2度打ち3度打ちをしても、ループがへたって寸法が安定しただけで、内部剥離を直すことは出来ない。これが経時変形、経年劣化の原因となる。
編地平面(曲面)でknitting loop間の幅より45度サインカーブの交点のピッチが大きい場合、実測値の最小公倍数の位置にあるループはそのKnitting loopと同じ変形をする。同様にそのKnitting loopの編み方向の連なりのB寸法の実測値とサインカーブ好転ピッチの最小公倍数の位置にあるループは同じ変形をする。基点となるループと、同じ変形をするループの一つ手前のループで構成される四角形内のループは全て基点ループと異なる変形をする。従って、各々のループ変形が十分に変形し、圧縮によって本来の編地平面(曲面)を飛び出した時のみ、上下の層に十分架橋される。架橋による一体化は上下の層を架橋することで完成する。
圧縮の過程で、本来の編み構造の結節部が移動し、ニードルループの半分、シンカーループの半分の位置で止まる。圧縮が進行するとループの半分が編地面から飛び出し架橋が完成する。
架橋に成功した製品表面が梨地調に見えるのは、そのためです。
以上を図解します。
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![]() ニードルループN1と隣り合ったループの全ては N1と異なる変形。従って全ての異なった (ループ)変形は枠内変形の繰り返しとなる。 |
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密度0.8の製品![]() 金型内壁にそって 変形(押込み)されている。 |
以上が、ニットメッシュ加工の基礎技術データです。この基礎概念を逸脱しては、弾性ブロックの量産は不可能です。応用技術については、現ニットメッシュ加工各社がお客様のご要望を100%満たせるよう努力され、他社に、品質、価格共、圧倒的優位性をお持ちになれば、貴社の将来の展望は明るいものとなるでしょう。
このレポート文中、内部剥離の原因について2ヶ所括弧で示しています。
各社さんが現在量産中の品番については、差しさわりがありますので、記述を差し控えます。
当社の取り組みについてのお問い合わせについては、お問い合わせページより受けたまわります。
当社は、守秘義務の遵守を心がけております。真摯にお答え致します。
具体的には何を意味するか、説明いたします。
ニットメッシュ事業の国内での生産環境は、残念ながら非常に厳しいと言わざるを得ません。何しろ生産工程の直接人件費がかかりすぎる。中間工程に手作業工程があるからです。外注工賃を値切れば、不良品が増える。粗成形をプレス化すれば、20~30%の不良を出し利益を圧迫する。よく経営幹部の話を聴くと、”うちは95%以上の収率を維持しているから大丈夫だよ”と言われる。不良品の打ち直しを含んでの話をしよう。幹部の統括範囲が複数にまたがる場合など、工程担当者が、他ライン余剰人員をまわして効率化するのは当たり前。私の経験では伝統ある大会社ほど原価管理にルーズですね。現場管理者の結束が固いほどコストの付け替えが、罪悪感なく必ずある。日本の生産会社の体質でしょう。他にもロス率を実績より低く抑える手法を見て来ました。経営決断を誤らせる事態もあり得る。原価管理の厳密化、製造ラインの第三者的チェック権限強化が必要でしょう。
いずれにしても、製造方法が外国製品と同じなら、人件費の安い外国産の流入は当然でしょう。手作業工程の人件費をプレス要員一人に対し粗成型加工の要員を一人以下に出来る粗成形機を投入すれば、収益性が著しく改善し、輸出市場でも圧倒的優位性を確保出来ます。当社の対応策は、この実現を可能にしました。
これにより、製造コストの圧倒的優位性を獲得することが出来ます。
生産環境についてのもうひとつの問題点
上記技術レポートで指摘したように、編み工程→粗成形工程の良否がプレス工程製品品質に多大な影響を与えると云う事実です。工程全般をコントロールできる人材が確保出来ますか?
それが出来なければ、お客様多様なニーズの新製品には答えられないでしょう。
鋳物メーカーが金属粉製造を手掛けたらすぐつぶれますよ!!
それは、少なくとも国内で生産し国内で使ってもらうニットメッシュ製品については、全ての国内関連メーカーの国内産品が、少なくとも品質面で圧倒的優位性を持たないと外国コピー製品の流入は止まらないだろうとの危機感を実感しているからです。
製品を類別して話を進めます。
クーラントアッシーのニットメッシュ製品市場は、縮小しています。国内では、巻き線方式、マイクロメッシュ金網、パンチングメタル、マイクロエキスパンドメタルの巻き取り成形品などの採用によるものです。フィルターの機能を、ほしい物を通していらない物を排除する機能と定義すれば、熱をエヤーから取る機能だから間違いなくフィルターです。代替品に市場を奪われて、それがニットメッシュ製品と比較して本当に優位性を持つものなのか検証して、撤退を決断すべきでしょう。エヤーバッグシステムのモジュール化はトレンドでしょう。ネックは重量だと聴いています。ヨーロッパ開発陣には、エヤー冷却の最適条件を検討する有能なフィルター技術者が関わっているはずです。それが解かれば、物理現象であるんだから、何も金属を使わなくて良いでしょう。軽量化の道が開けます。自動車の安全装置の進化は重量の増大がジレンマだと言います。その正解は、ニットメッシュ加工の非金属化にあると思うんですがねえ。クーラントアッシーの必要且十分条件を満たす方法は色々あると思いますよ。
テープ・プレス品共、継続的な開発、改善が必要です。結論は、開発改善を疎かにして、コピー製品だけでは、いずれ”食えなくなりますよ”とゆうことです。
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